観光名所や文化遺産がある蘇州。普通の観光ではあじわえない蘇州の日常をのぞいてみました。
並木道の外壁にかけられた鳥籠から美しい歌声と、クラクションを鳴らしながら通り過ぎる車と自転車。今と昔が混在するどこか懐かしく居心地のいい街、ノスタルジック蘇州。いろんな発見に旅情は深まるばかり。(2002年4月の旅日記です)
上海から蘇州へ
上海には現在2つ空港がありますが、ここの虹橋空港は以前からの国際空港です。上海から蘇州までは快適な電車もありますが、いつも虹橋空港から直通で蘇州までは便利なミニバスを利用します。虹橋空港を出たところにバス停があります。ここから他の大きな都市へ直通で出ていますが、長距離のバスは非常に疲れます。しかし蘇州までの距離だとミニバスで1時間半ほどなので苦にならずとっても便利。
しかしその便利なミニバスですが困ったことがあります。
それは10数人しか乗れない小さい空間なのに携帯電話で大声でしゃべられることです。しかもしゃべっている内容は聞きたくなくても入ってくるほど大声なのです。これにはまいります。
近年の中国では電話機自体も非常に高価にもかかわらず携帯電話の普及率は急増しているそうです。マナーについてはこれから改善してもらえたらうれしいです。
こういう光景を見るとすでに中国に入ってきたんだという実感がでてきて、そのうちその環境に慣れてしまうのが恐ろしい・・・(^^;
蘇州の街並み
蘇州の市内の中心、干将東路(ガンジャントンルー)は路の真中に河が流れていて回りも緑で美しくきれいに整備されています。まわりには大きな百貨公司(百貨店)が何軒も立ち並び大変な賑わいを見せています。一昔前には道幅は半分もなかったそうで、開発と同時に拡張していったそうです。
イメージの水の都とは違う近代的な街並みに初めは驚きました。来るたびに古いものが壊され新しいビルが作られていて発展の変化のスピードは凄まじいものです。
それもそのはず蘇州は人口600万人の大都市なのです。上海の規模から比べると小さいですが都会過ぎず田舎過ぎないこの都市は、他の場所から来た者にとっても生活も便利で居心地のいいところと感じられます。
また蘇州の人々は優しくて温和だそうです、そのため道を聞いたときなども優しく親切に教えてもらえたりと、蘇州ならではの人情に出会えるところでもあるのです。
しかし、残念なことに近年の発展によって大きな都市には地方出身の出稼ぎの人が増えて治安も悪くなってきているようです。
風情たっぷりの路地裏
近代的な街を思わせる市内の中心から路地を入っていくとそこには昔の生活がありました。すぐ近くには大きな市場があり、豊富な食材が手に入ります。運河が流れるそばの窓からは鳥篭がつるされて小鳥が歌声を自慢しています、洗濯物も干されていて蘇州の生活の素顔が見えてきます。世界文化遺産に負けない風情のある裏道です。
街のいたるところに河が流れているので、突然昔にタイムスリップしたような不思議な感覚になるのもおもしろいところです。夜の風景も河のそばで柳が垂れ下がり雰囲気があります。ついこの風景をそのまま持ち帰ってしまいたくなります。
蘇州といえば多くの観光客が訪れる世界文化遺産「拙政園」「獅子林」などすばらしい美しい園林(庭園)があります。明清のアンティーク家具から美しい花々、四季によって変化する景色は人々を魅了いたします。
観光ならば一度は行ってみたいところです。しかし、入場料が高くなりすぎて中国の地方からの観光客や外国観光客がほとんどで地元の人々には遠い存在になっているようです。
蘇州の花鳥市場
そんな蘇州に、もちろん他の都市でも良く見られるのですが「花鳥市場」という、ガーデニングのお店とペット屋さんが合わさったようなところがあります。
ひとつのお店ではなくいくつもの小さなお店が連なった市場のようになっています。
フリーマーケットのような雰囲気さえする「花鳥市場」では、ステキな生活を楽しむものであふれかえっています。
色んな種類の草木や盆栽まであります。鉢植えは宜興のものや景徳鎮のものまで大小様々豊富です。
ペットは小鳥、うさぎ、猫、犬、金魚までいろんな動物がいます。
中国で人気のある虫、コオロギなども売っていますが、おもしろいのはその飼い方です。
小さなマッチ箱のような入れ物に入れて声を楽しみます。
↓この入れ物の種類だけでも何種類もあって、高級品は黒檀や紫檀を使い彫刻まで入っています。お茶をすすりながら虫の鳴き声を聞いて楽しむステキな生活がそこにはあるのでしょうか。
蘇州でラーメンをいただく
蘇州は食の街としても中国の中でも有名で、レストランではおいしい中華料理がいただけます。なんと蘇州はラーメンがおいしいところということでも有名なのです。
以前テレビ番組の「世界ウルルン滞在紀」でも、蘇州で取材をしている様子が紹介されていました。
中国では朝から麺を食べる習慣があるので、早朝からいっぱいの人です。
お店ではメニューを見ながら食券を買います。それをカウンターに持っていきます、ちょうど学食のような感覚です。麺の他に蒸し餃子や小龍包そして湯圓などあまい点心もあっていろいろ楽しめます。
まず麺の量に驚きます。2人前ほどあるように思えます。新鮮な食材が豊富なだけに揚げた魚をトッピングした麺がオススメです。スープは日本のようなこってり味ではなくあっさりとしているのが特徴です。
街中で偶然見かけたラーメン屋さん
ラーメンでも麺の種類がいろいろありますがまずは刀削麺。
小麦粉でこねた固まりを包丁で上手に削っていきます。削った麺を直接鍋にほりこんでいくのが見た目にも楽しめ、足を止めさせられます。
拉は引っ張るという意味で、麺を引っ張ってつくるので拉麺(ラーメン)です。まさしく引っ張りながら細い麺を作っていきます。
あっと言う間に小麦粉のかたまりが麺になっていきます、できたての麺をすぐにゆでるのでとても腰があっておいしい。
蘇州に限らずその土地でとれた物をいただけるというのは幸せなことです、しかもその時期の旬の食材を使って食べれるというのがなによりもの贅沢。
野菜の豊富さと太湖のおかげで豊富な魚もいただける。
なんでも手に入る日本だけど、輸入にたよっている状況からするとちょっぴりうらやましい。