工芸茶の旅(工芸茶はこうして作られる)

投稿日: カテゴリー: お茶の産地から

ポットの中で美しく咲く工芸茶はいったいどうやって作られているのか?
中国は福建省福安の工芸茶の工場を見学してきました(2004年のレポートです)。

工芸茶の故郷「福安」へ

福安の風景

温州から福安に向かう高速で福建省境に入った直後、バスから撮った風景です。
バスで福建省に入るのは初めてでした。以前勤め時代に会社の工場が福州にあり、よく福建に来ていましたが、いつも香港から直接飛行機で飛んでたので、地形などの自然環境について全然気づきませんでした。学校の地理授業から、福建省が平行に配列した山々が多く、鉄道の建設が難しいと聞いていました。昔から外省との交通が不便で、省内各村落間の交流も少なく、200以上の方言を持つと言われてきました。
そんな山々に囲まれた福建省を今回バスで来た為、よく分かりました。

 

鉄観音を飲む

温州から出発5時間後くらい、福安県社口鎮に辿り着きました。福建省には福が付く地名が非常に多くて、福安県はミン東(福建省東部)にあります。社口は福安市から車でおよそ30分程の所にある山村で、昔海外で名高い『坦洋工夫』紅茶の発祥の地です。
少し長いバス旅からちょっと一服。
父親が工芸茶工場を営んでいる友達が抹茶フレーバーのカボチャの種と供に出したのはジャスミンティーではなく、今流行りの清香タイプ鉄観音でした(笑)。

 

茶葉研究所を見学

製茶の現場を見たいと言ったところ、時間がまだ早いと言われて、家の近くにある茶葉研究所を案内されました。

茶葉研究所にて

正式な名前は福建省農業科学院茶葉研究所
お茶の故郷「福建省」に数多くある茶葉研究所の中で、唯一省政府が設立した公認の研究機構です。

 

茶樹

研究所の中には様々な茶葉品種を研究・改良・育種するために茶樹が栽培されています。
写真の中に一列一列になっている茶樹はそれぞれ違う品種の茶

 

茶畑

研究のための畑と、所の職員たちに貸して自由栽培されている畑があっちこっちにあります。

 

茶畑

本当に研究者だけではなく、一般事務員までお茶の栽培・製茶に熱心に参与しています。

 

茶子

ちょうど茶樹の実がなる季節で、あっちこっちに『茶子』が見かけられました。

去年のこの頃も日本から研究見学の団体さんがあって、日本人が到着の前の日に研究所全員動員ですべての茶子を取りさったようです。

茶子が海外に流出するのは禁じられるからです。

 

茶樹品種資源圃を見学

ここには中国全土にある全ての茶樹の品種を一本ずつ栽培されています。
数ヶ月前にまだ自由に見学ができましたが、近所の子供達が園内でバーベーキューをして、幾つかの茶樹を燃やした事があってから常に錠を掛けられることになりました。

茶樹の品種資源圃

この日友達の幼なじみである研究所職員に開けて貰って、見学することが出来ました。

茶樹品種資源圃で見た面白い品種『奇曲』です。
枝が芽の入ったところに反対方向へ生長して、くにゃくにゃで分かりやすい品種です。
『奇曲』という名前も反対に『曲奇』に呼ぶと『クッキー』の意味になります。←ちょっとオヤジギャグかなぁ?

 

工芸茶の工場見学…工芸茶の成形の工程

いよいよ工芸茶製作の本番に入ります。当店の人気工芸茶、ジャスミンの花が見事に8段連なる『茉莉仙女』がどのように作られていくのか工程ごとに見ていきましょう!

 

組み合わせ・・・茶葉を束ねて花を入れ糸でしばります

まず、一本一本厳選した緑茶芽茶を束にして、タコ糸できっちりとくくります。

 

芽茶束の中心から菊花のように広げていきます。

 

広げた茶葉を更に「たこの頭」を作るように下へ折って

 

今度は折ったところから60-70mm程の場所に糸で固定します。これで、この「たこの頭」部分は工芸茶の土台になります。お湯を注ぐと下に向くようにします。

 

次は土台を下に向くように持って、茶葉を帽子の縁を作るように放射状に広げていきます。

 

そして、糸で8輪のジャスミンの花を通していきます。

 

ジャスミンを内側の中心に固定して、纏めます。

 

そして、通気性の良い薄い生地で工芸茶を丸ごと包んで、

 

ボールの形に整えながら糸で固定していきます。

 

※通気性の良い薄い生地について
現場ではストッキングを使用しているのを見ましたが、人間が履いた古いストッキングでは?と誤解されないよう工芸茶製作に新品のものを使っていると説明下さいました。

 

工芸茶の工場見学…工芸茶の定型の工程

一個一個成形済みの工芸茶に作業員の番号タグを付けて、定型工程(工芸茶の形を固定する)に入ります。

誰が作ったかきっちりと管理しています。

 

茶葉焙煎箱の最上段に並べます。 温度を掛けていますので、最下段に落ちるときは乾燥・定型完了となります。

 

ジャスミンの花畑の風景

香りつけの工程に入る前に、ジャスミンの花畑の風景をご紹介いたします!


福安では、毎年大体5月から10月までがジャスミンの開花時期です。工芸茶の工場でのイン花工程は大体夜9時(気温が低くなって)から行いますので、花を使うタイミングに合わして花を採取しているようです。

 

午後3時頃から夕刻まで、村の小学生くらいの子供からお年寄りまでみんな畑にジャスミンを採りに出て、お小遣いを稼いでいます。
女の子が私のカメラを見て、恥ずかしがって背を向けてました。

 

工芸茶『イン花』香りつけの工程

『イン花』(香りつけの意味)とは、新鮮な花と一緒に時間を掛けて放置することによって、自然に花の香りを移させることです。

『イン花』工程に使うジャスミンは5分咲きのつぼみです。

 

花を採るのが早過ぎると、実際に使う時にはすでに花が開き過ぎて、香りが吐き終わってしまいます。雨が降る時にも花は採りません。雨水の帯びたつぼみを使うと、出来上がった工芸茶が長持ちしないからです。


午後4、5時頃畑から取ってきたつぼみ。

 


夜になって、『イン花』工程に入る頃のつぼみの大きさ、時間が経って花が開こうとしています。

 

ここからは香りつけの工程です

工場に運んで来たジャスミンのつぼみは一階から地下に降ろします

 

地下一階にあるこの選別機が大きさによって分けてくれます。左手はOKのつぼみ。右手はNGのつぼみ。

 

定型工程までは、まだ『緑茶+ジャスミンの花』状態ですので、淹れてもそんなにジャスミンの香りがしません。

ここでジャスミンの出番!

これから香りつけの工程に入ります。

 


定型工程が終わった段階(まだストッキングに包まれた状態)の粒を、ジャスミンのつぼみと冷暗所でよく混ぜます。

約丸一日放置して香りをお茶に移させます。

 

『イン花』工程で既にジャスミンの香りを付いた工芸茶を、さらに香りを浴びさせる工程のことを『提花』といいます。

 


トレーに散布した工芸茶の上にジャスミンのつぼみ、そして薄い布で覆ってからほかのトレーに重ねて、一晩置いておきます。

こうすることで、すばらしいジャスミンの香りのする工芸茶となるのです。

 

工芸茶の旅はここで終わりです。

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