額の中の絵みたいなのは、実は中国蘇州刺繍です。何に使用するのは画像を見ただけではわかりにくいですよね。
マンダリンスクエア(補子)とは?
この四角い刺繍の生地は、明朝または清朝のお役人が、服の胸側と背中側に縫いつけた四角い記章のこと、簡単に言えば階級章のワッペンのようなものです。
中国語では補子と呼ばれています。
香港映画の「キョンシー」を思い出していただければわかりやすいと思います。キョンシーの服に四角い刺繍の模様が入った布をつけていませんか。
(余談ですが、桃小二が言うには、当時人気のテンテンちゃんのお父さんは台湾の映画スターだったそうです)
それと、ちょっと前(2010年)のドラマ「蒼穹の昴」で、セットや衣装がとても豪華でした。官僚がカラフルな鳥の記章で刺繍されたマンダリンスクエア(補子)をつけた服(補服)を着ていますよ。
漫画で描いてみました、こんな感じです。
刺繍の絵柄は、ちょっと漫画のようにも見えてかわいらしいですが、それぞれの絵柄にはちゃんと意味があります。
刺繍の絵柄によって、文官か武官なのか、そしてランクを示しました。
例えば、「鶴」は文官の一品、「麒麟」は武官の一品、というように、文官は鳥類、武官は獣類、さらに一品、二品というように官位を示しました。
さすがに、マンダリンスクエアを服に縫いつけるのはちょっと勇気がいるかもしれません。好きなカバンや、クッションに縫いつけるのはいいかもしれませんが、せっかくの美しい刺繍が擦れてしまうのはもったいないです。
マンダリンスクエアを額装
額装をすればお部屋のインテリアとして楽しめるのでおススメです。スウェーデンのインテリアのショップで、ちょうどいいサイズの額がありましたので額装しました。
中央の四角い部分がマンダリンスクエアにちょうどいいサイズで、額自体も正方形でフチも黒くてモダンな雰囲気があります。既製品でよくこんなちょうどいい額があったものです。
丸いマンダリンスクエア(補子)
スクエアではありませんが、丸い五爪龍の補子も中国蘇州の刺繍職人さんによる手仕事でみごとに再現しています。豪華で美しい配色と、迫力のある龍の絵柄に威厳を感じます。
龍の絵柄は、皇帝の象徴であったため、皇帝しか身に着けることができませんでした。
その他の装飾として、祥雲、蝙蝠、八吉祥、如意等が描かれています。
小さな龍袍
皇帝の衣装「龍袍」といっても、とても小さいので着れません。
龍の絵柄は、皇帝の象徴であったため、皇帝しか身に着けることができませんでした。中国時代劇のなかで、大臣が家の中でこっそりと龍袍を身に着けているのは、これからクーデターを起こそうと企んでいる前兆としてよく登場するシーンのようです。
豪華で美しい配色と、迫力のある龍の絵柄に小さいながら威厳を感じます。
襟を覆う装飾の「披領」も付属しています。
いずれも現在の使い方としては、インテリアとして額装してお部屋に飾るのがおすすめです。モダンでシンプルな洋風の家に神秘的なオリエンタルエレメントがあってもいいですね。
(一瞬ハリウッド映画にあるセレブの家のワンシーンかのように)