宜興までの道のりと、のどかでノスタルジックな陶器の町の素顔に出会います。(2002年4月の旅日記です)
蘇州から宜興へとバスの旅
蘇州からバスに乗って宜興まで行きます。鉄道は無錫までしかでていないので、直接バスに乗って向かいます。
立派で大きなバスステーション
蘇州には北駅・南駅・西駅と3つのバスステーションがあります。
コンピュータで発券されたチケットは座席番号と何番バスの何時発そしてゲート番号まで記載されています。早めにチケットを購入しておくと座席も確保できて安心です。
チケットの記載のゲート番号前に並びます。時間通りにバスは発車します。
「正在検票」の文字が光りました。さあ、いよいよゲートが開きました。改札をとおります。時間はぴったりです。
さあ、出発です!バスに乗り込みます。座席は決まっていますがすいているので適当な場所に座ります。なぜか帰りの宜興から蘇州はミニバスです。しかも行きと帰りのバス代が異なります。
蘇州から宜興までの直通バスです。
雄大な湖『太湖』を見ながら宜興へ
蘇州から宜興までには無錫を通って行きますが、中国の五大湖の一つである「太湖」と呼ばれる大きな湖がありあます。その大きさは半端じゃありませんなんと琵琶湖の3倍もの大きさです。美しい湖畔を左手に見ながらバスは進んでいきます。
進行方向の左手が 「太湖」
ふっと、回りを見渡すと初め数人しか乗っていなかったバスがなぜか満員になっているではないですか!
途中上下車や荷物だけの乗車もあり、バスが生活の一部になっているのがよくわかります。足元は荷物でいっぱいになっています。
バスの窓から大きな湖「太湖」を眺めます
太湖までの道のりでこのような大きな石を見かけます。これは『太湖石』と呼ばれる太湖でとれた高価な石なのです。『太湖石』は湖の底で浸食されてこのような穴のあいたような独特の形となるのです。
蘇州で有名な庭園の『獅子林』で見られるます。またホテルやレストランなどでも装飾品として置かれています。ここではその『太湖石』が売られています。
太湖石の販売所
宜興に近づくにつれ陶器の市場や陶器の工場なども見えてきて陶都と呼ばれる雰囲気がでてきます。蘇州を出発して2時間ほどで宜興に着きました。こじんまりとしたバスステーションです。バス停を出るとお土産用の茶壺が売られていますがそんな陶都と呼ばれるような雰囲気は感じません。それもそのはず茶壺のふるさとは宜興市中心から少し離れたところにあるのです。
宜興のバスステーション
陶都宜興の素顔とは
陶都宜興は総面積2,038平方メートル、人口108万人の都市で江蘇省・江浙省・安微省と3つの省の境に位置していて、上海・南京・杭州の3大都市のほぼ中心に位置する。そのため交通としても重要な地点であるため今後さらに発展が期待されています。
大きな甕がいっぱい
宜興の中心からミニバスで20分ほどしたところに丁蜀鎮と呼ばれるところまで行きます。大きなかめがいっぱい並べられています。いたるところに運河があり船で運んでいけるようになっています。とっても旅情がある風景です。
交通手段は陸と運河。運河は太湖へとつながります。大きなかめなどは船で運びます。
のどかで静かな田舎の風景ですが、煙突がところどころに見られます。ここでも陶器が焼かれていて、民家で作った陶器を釜へ持ち込んで焼いているのです。さすがに陶都と呼ばれるだけあって宜興の郊外に来ても様々な陶器が作られているのです。
『前墅龍窯』伝統と歴史の窯に火がともされる!
のどかな民家の奥のほうで昔ながらの窯があると案内されました。『前墅龍窯』と呼ばれるこの窯は明の時代から使用されてきた現役の窯です。今でも伝統的な焼き方が受け継がれているのですばらしいことです。
宜興市文物保護単位
運良くちょうど焼いているところに出くわしました。地元の人でも使用しているのを見るのは珍しいようです。
宜興の郊外にひっそりと今でも煙を出してがんばっている『前墅龍窯』は市政府の保護を受けています。今までにどれだけの作品を焼いてきたのか深い歴史がある窯です。昔ながらの焼き方なので手間と時間がかかり、コストもかかるのですが保護していかなければならないために使わなくてはなりません。
背骨のような窯は全長約60メートルほどです。この下に焼かれる陶器が置かれています。
下に陶器を置いて焼きます、穴から火が見えます。職人さんたちが穴にわらを入れて燃やします。その後泥で穴をふさぎます。とても重労働です。
煙突からは煙がでています。古い窯に火がともされて昔ながらの焼き方で焼かれる風景はとてもノスタルジックな雰囲気で楽しめました。
窯は斜めになって上がっているので煙突のある頂上からは宜興郊外が一望できます。のどかに見える風景ですが、いたるところで窯があり陶器が焼かれているのがわかります。奥の煙突がたっているところは窯があります。
前墅龍窯近くの工房でベテランの職人さんに出会う
窯の近くの工房ではおばあちゃんたちがおしゃべりもせずせっせと器を作成していました。あまり正確な寸法を要求をしないとはいってもベテランの職人さんの腕はとっても早くて正確!
超ベテラン職人のおばあちゃん、いったいなんの器をつくっているのかと思いきや、生活のためにかかせない器でした。