陶都と呼ばれる中国江蘇省宜興の街にて茶壺の工房を訪れました。
茶壺の制作現場や工程を見学しました(2002年のレポートです)。
宜興の街並み
宜興は古くから陶器を生産してきた歴史のある街で、
中国江蘇省に位置し、上海から蘇州・無錫を通過してたどり着きます。
茶器だけでなく大甕づくりもさかんです。街には陶器がそこらじゅうにみられます。
宜興は良い土が取れることで栄えてきた街で、
朱泥・紫泥・白泥・黄泥・烏泥(黒)がとれるため古くから陶器を作るのに適した土地であったようです。
宜興茶壺はこれらの土、陶泥と砂を混ぜた陶土でつくられます。
土の色により微妙に茶壺の色に違いが出ます。その土は焼き上げると微細な穴ができ、
熱が伝わりにくいため、お茶が冷めずに茶葉を変質させず茶の味を引き立て、香りを保つことが出来ます。
だから宜興製の茶壺で淹れた烏龍茶がおいしいのですね。
宜興には窯がいくつもあって煙突からいつも煙が出ています。
街の高台からの眺めでは街全体が陶器の工場のような、そんな印象を受けるほどです。
宜興の工房
茶壺作りの基本となる作業、均一の厚さになるように叩いて平たくします。
一見きれいに叩いて伸ばす単純な作業ですが、これが結構難しい。
この作業をマスターするだけで3年はかかるといわれているようです、茶壺作りの奥深さがわかります。
蓋の部分をサイズに合わせて作っていきます。
細かな作業で大変です、職人さんたちは常にかがんでいる状態が多いので肩や首の後ろがこっている職業病だとか。
茶壺はすべて手作りなので、職人さんたちの魂がこめられています。
先生の工作室
先生ともなると個室があり作品制作に集中します。
丁寧に丁寧に何度も時間をかけて細かい部分を作っていきます。
先生の工具を拝見。
これは牛の角でつくられたへらです。
水を少しつけて茶壺の表面をなでるようにして整えます。
パーツのつなぎ目の部分も目立たないようにさせます。
貫録のある先生がいました。
まさしく頑固そうな先生ですが、写真を撮らさせてくれました。
大事そうに茶壺のパーツを作っていました。
茶壺工場での作業風景
ここは大き目の工場で、職人さんが何人かで作業をしています。
作業を分担して茶壺を作製していました。
ちょうど台湾へ輸出する茶壺を作っていました。
台湾でも宜興の茶壺は人気あります。
中ぐらいの甕を作っています。
大きな型です、この型に土を入れて作っていく工程は力が要る大変な作業となります。
大きな甕が所狭しと並べられています、迫力がありますね。
茶壺を窯で焼く
窯の種類も大きな鉢を焼くものや小さいな器を焼くものとはことなりますが、
この窯は小さ目の茶壺などに適した窯で、いろんな茶壺が焼かれていました。
全体に長い作りになっていて、2段式のベルトがゆっくりと窯の中を通っていきます。
急激に温度を上げ下げすると割れてしまうので、徐々に温度を上げていき、
その後徐々に温度を下げるためにゆっくりとしたスピードで進んでいきます。
二段式でゆっくり進みます。
あつい!あつい! 木炭を燃やしています。
ちょうど真中のあたりで火を燃やしています。大変な作業です。
温度は1100-1200度の高温です。温度を調整するのも熟練の勘と経験が必要。
窯からゆっくりと焼きあがった茶壺たちが姿をあらわしました。
焼きあがった茶壺。
宜興の茶壺は使い込めば使い込むほど味が出てきます。
お気に入り茶壺を永く育てて(養壺)みたくなるのも納得です。